カイ二乗分布
Jikao
2023-03-07
カイ2乗分布
ガンマ分布 の特殊な場合として、カイ二乗分布が知られている。\(Ga(\dfrac{n}{2}, 2)\)を自由度\(n\)のカイ二乗分布といい、\(\chi_n^2\)で表す。
確率密度関数\(f(x)\)は
\[ f(x) = \frac{1}{\Gamma(\frac{1}{2})} (\frac{1}{2})^{\frac{n}{2}}x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}},x>0 \]
カイ二乗分布の概形
次にカイ二乗分布の概形を示す。ただし、自由度を\(n\)とする。
正規分布との関連
確率変数\(Z\)が 正規分布 \(N(0,1)\)に従うとき、\(Z^2\)は自由度\(1\)のカイ二乗分布に従う。
\(Z\)の確率密度関数を\(f(z)\)とすると、
\[ f(z) = \frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-\frac{z^2}{2}} \]
\(Z^2=X\)で、\(x\)の確率密度関数\(g(x)\)は
\[\begin{eqnarray} g(x) &=& \frac{d}{dx}P(x\leq{}X=Z^2)\\ &=& \frac{d}{dx}P(-\sqrt{x}\leq{}Z\leq\sqrt{x})\\ &=& \frac{d}{dx}\int_{-\sqrt{x}}^{\sqrt{x}}f(z)dz \end{eqnarray}\]ここで、\(f\)の原始関数の一つを\(F\)とすると、
\[\begin{eqnarray} g(x) &=& \frac{d}{dx} \left\{ F(\sqrt{x})-F(-\sqrt{x}) \right\}\\ &=& \frac{d\sqrt{x}}{dx}\frac{d}{d\sqrt{x}} \left\{ F(\sqrt{x})-F(-\sqrt{x}) \right\}\\ &=& \frac{1}{2\sqrt{x}} \left\{ 2\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-\frac{x}{2}} \right\}\\ &=& \frac{1}{\sqrt{x}}\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-\frac{x}{2}} \end{eqnarray}\]ここで、 ガンマ関数の性質
\[ \Gamma(\frac{1}{2}) = \sqrt{\pi} \]
より、
\[ g(x) = \frac{1}{\Gamma(\frac{1}{2})}\frac{1}{2} (\frac{x}{2})^{-\frac{1}{2}}e^{-\frac{x}{2}} \]
となることから、確率変数\(X=Z^2\)は自由度1のカイ二乗分布に従う。
カイ二乗分布の期待値と分散
期待値と分散は
\[ E[X] = n\\ V[X] = 2n \]
期待値と分散の証明
ガンマ関数 のモーメント母関数は
\[ M_X(t) = \frac{1}{(1-t\beta)^\alpha} \]
となることから
自由度\(n\)のカイ二乗分布のモーメント母関数は
\[ M_X(t) = \frac{1}{(1-2t)^{\frac{n}{2}}} \]
となることから求められる。
\[ E[X] = n\\ V[X] = 2n \]
また、 ガンマ分布 の場合を参照すると、ガンマ分布の特殊な場合たるカイ二乗分布にも分布の再生性があることが分かる。すなわち、
\[ X\sim\chi_n^2,\ Y\sim\chi_m^2\Leftrightarrow{}X + Y\sim\chi_{n+m}^2 \]
さらに、\(Z\sim{}N(0,1)\)なる確率変数\(Z\)を用いて\(Z^2\sim{}\chi_1^2\)となることも併せて、分布の再生性を用いると以下の命題を導くことができる。
\[ Z_1^2 + \dots + Z_k^2\sim{}\chi_k^2 \]
ただし、\(Z_{i}\sim{}N(0,1)\)である。標準化正規分布の2乗和がカイ二乗分布に一致する。
ほかの分布との関連
ほかにガンマ分布の特殊な形として、 指数分布 がある。