変数変換

ある確率変数\(X\)の確率密度関数が\(f_{X}(x)\)で表されるとき、\(Y=g(X)\)なる変換を考えて、\(Y\)の確率密度関数\(f_{Y}(y)\)を求めたくなる時がある。まず\(f_{Y}\)の分布関数(累積確率関数)\(P_{Y}\)から考える。

\[ F_{Y}(y) = P(X\in\{x|g(x)\leq{}y\}) \]

確率密度関数は分布関数の導関数として求められるので、

\[ f_{Y}(y) = \frac{d}{dy}P(X\in\{x|g(x)\leq{}y\}) \]

このとき、\(g(x)\)が単調増加関数または単調減少関数ならば、\(g\)の逆関数\(g^{-1}\)が存在して、条件\(X\in\{x|g(x)\leq{}y\}\)\(X\in\{x|x\leq{}g^{-1}(y)\}\)と書き直すことができる。この条件を満たす\(P(X)\)は、\(f_{X}\)を用いて次のように書くことができる。

\[ P(X\in\{x|g(x)\leq{}y\}) = \int_{-\infty}^{g^{-1}(y)}f_{X}(x)dx \]

これを微分して、

\[\begin{eqnarray} f_{Y}(y) &=& \frac{d}{dy}\int_{-\infty}^{g^{-1}(y)}f_{X}(x)dx\\ &=& f_{X}(g^{-1}(y))\frac{d}{dy}g^{-1}(y) \end{eqnarray}\]

ここで、

\[ y = g(g^{-1}(y)) \]

を両辺\(y\)に関して微分すると

\[ 1 = g'(g^{-1}(y))\frac{d}{dy}g^{-1}(y)\\ \frac{d}{dy}g^{-1}(y) = \frac{1}{g'(g^{-1}(y))} \]

となる。確率密度関数は常に正であるため、逆関数部分が負にならないよう注意して

\[ f_{Y}(y) = f_{X}(g^{-1}(y))\frac{1}{g'(g^{-1}(y))} \]

となる。

よく使う変数変換・線形変換

\[ Y = \sigma{}X + \mu \]

なる変数変換では、\(Y\)の確率密度関数は

\[ f_{Y}(y) = \frac{1}{\sigma}f(\frac{x-\mu}{\sigma}) \]

よく使う変数変換・平方変換

\[ Y=X^2 \]

では、

\[ f_{Y}(y) = \{f_X(\sqrt{y}) + f_X(-\sqrt{y})\}\frac{1}{2\sqrt{y}} \]

となる。\(g\)が単調に増減しないのでさっきの定理は使えない。証明は分布関数\(\dfrac{d}{dy}P(X\in\{x|x^2\leq{}y\})\)より計算して求められる(適当)。