指数分布

ガンマ分布 の特殊な場合として、 カイ二乗分布 とともによく知られているのが指数分布である。確率密度関数は

\[ f(x) = \lambda{}e^{-\lambda{}x} \]

と表される。

指数分布はガンマ分布において\(\alpha = 1\)\(\beta = \dfrac{1}{\lambda}\)とした場合の分布であり、

\[ Ga(1, \frac{1}{\lambda}) = Exp(\lambda) \]

となる

指数分布はランダムなイベントが発生するまでの時間を表す分布である。このランダムなイベントとは、一定期間に\(\lambda\)回起こるものである。

ガンマ分布は、「期間\(\beta\)ごとに1回くらい起こる事象が合計\(\alpha\)回起こるまでの待ち時間を表す確率変数」が従う分布であった。\(Ga(1, \dfrac{1}{\lambda})\)は「期間\(\dfrac{1}{\lambda}\)ごとに一回ぐらい起こる事象が一回起こるまでの待ち時間」が従う分布ということになる。

ここに、\(\dfrac{1}{\lambda}\)ごとに一回ぐらい起こる事象とは、単位時間当たり\(\lambda\)回起こる事象と同義であることに注意されたい。

なぜランダムなイベントを指数分布で表せるかという説明に関しては、 このページ が詳しい。

指数分布に従う確率変数の例として、

・一定の間隔で息継ぎのために浮上するクジラの潜水時間

・地震が起こる間隔

・電球や機械が壊れてから次に壊れるまでの間隔

・人とすれ違ってから次の人とすれ違うまでの時間

などが挙げられる。

指数分布の概形

指数分布の概形を以下に示す。

指数分布のモーメント母関数

指数分布のモーメント母関数は、 ガンマ分布 のモーメント母関数において、\(\alpha = 1\)\(\beta = \dfrac{1}{\lambda}\)としたときの関数に等しく

\[ M_{X}(t) = \frac{1}{(1-\frac{t}{\lambda})} \]

指数分布の期待値と分散

期待値と分散は

\[ E[X] = \frac{1}{\lambda}\\ V[X] = \frac{1}{\lambda^2} \]

期待値と分散の証明

モーメント母関数を用いる。

モーメント母関数の0付近での1階微分が期待値\(E[X]\)となり、2階微分が\(E[X^2]\)となる。分散\(V[X]\)\(V[X] = E[X^2]-E[X]^2\)と表されることに注意して計算すると題意を得る。

次回は、変数変換を通して指数分布と関連する パレート分布 を扱う。